東亜商事|Passion Cellar : マリアージュ
和の逸品とワイン
2010.06.09
3年連続ミシュランガイド東京三つ星の「銀座小十」で味わう和の逸品とワイン
ところ: 銀座小十
日時:  2010年6月1日火曜日 20時30分から
 ミシュランが日本に上陸してはや3年。 店主の奥田透氏。 口に含むと熟したトロピカルな果実、ヘーゼルナッツ、樽熟成からのバニラの香りが拡がります。 ゼリー寄せの野菜には、焼き茄子・オクラ・アスパラガス・いんげん・ 奥田氏からもグラスで出しやすいシャンパーニュですねと好評をいただき、 旬の野菜と雲丹の新鮮さと甘み、口当たりのなめらかなとうもろこしの擂り流しの甘みと旨みが、同じくふくらみのあるワインにぴったりでした。 2品目は「稚鮎の素揚げ ニュージーランド産フレークソルトとともに」。 南オーストラリア アンゴーヴの「クレア・ヴァレー・リースリング 2007」とイタリア ヴェネト コスタ・カルダの「ディアマンティーノ 2004」。 お椀は「海老真丈」。 旬のお造りは厳選された「アオリイカ、真鯛、マグロ」。 奥田氏からアドバイスをいただき、イカと鯛は塩とすだちで、マグロは塩・わさび・醤油とをそれぞれ試してみることにしました。 マグロには上品な脂があるので、どちらにもよく合いました。 焼き物は「スズキの畳イワシ添えと琵琶湖産大鰻の蒲焼」。 奥田氏からはローヌの赤ワインも合うとアドバイスをいただきました。 強肴に「蛸 破竹筍 南瓜の焚き合わせ」。  「牛すき丼にお味噌汁と香の物」。 最後までピノ・ノワールと美味しく いただいてしまいました。 「やぶ北のあんみつ」で大満足でした。 
初回より連続で3つ星の格付けをされる日本料理店「銀座小十」にて、
和食とワインとのマリアージュを試してみることになりました。
柴田書店発行の月刊誌「専門料理」6月号の特別企画
 <日本料理とワインの組み合わせを考える>にて「銀座小十」店主の
奥田透氏と二つ星「日本料理 龍吟」店主の山本征治氏の対談が掲載されたばかり。
素材の持ち味と味わいの微細な観点を知り尽くした
奥田店主が作り出す和の逸品と様々な個性を持つ
様々な地域のワインとがどのようなマリアージュを生み出すのか、
興味と期待がふくらみます。

「専門料理」の特集記事にてクローズアップされた
「生うにと夏野菜のゼリー寄せ とうもろこしの擂り流し」を先附にお出しいただきました。
合わせたワインは、アルゼンチン・メンドーサのワイン
「トリベント ゴールデン・レゼルバ・シャルドネ 2007」。
果実の凝縮感にあふれるボディのしっかりとした南半球のシャルドネらしさのある辛口の白ワインです。

枝豆が綺麗に重ねられています。肉厚の雲丹ととうもろこしの擂り
とのコントラストは芸術的で、見目麗しい逸品です。
アペリティフにも先付にも最適なシャンパーニュ。
「シャンパーニュ マゼンタ・ブリュット」は柑橘類のシロップがけのような香りに
ほんのりと燻香があり、ほどよい酸味と若干の甘みと柑橘類の苦味が感じられます。
青柚子風味の雲丹と引き合いました。
筍の素焼き等にも合うでしょうとご意見をいただきました。

焼き茄子の香ばしさとワインにあるトースト香、また雲丹には青柚須の風味があり、さらにワインとの相性の良さを感じました。ワインのみではボディの強さが出てしまいがちですが、このお料理とともに味わうと全てが完全にまとまり、「これが最高のマリアージュ」というのだろうと納得してしまいました。
素材の持ち味と味覚を知り尽くされていらっしゃる
奥田氏だからこその素晴らしいマリアージュに感激しました。

合わせたワインは2種類。
稚鮎の独特な香りと後口に感じられる苦味が、リースリングのミネラル感と爽やかな酸味、柑橘類やハーブの風味にとても合いました。さっと揚げた素揚げの香ばしさにほんのりと甘みを感じるフレーク状の繊細な塩を加味すると、
ワインとの相性はさらに引き立ちます。
ディアマンティーノは熟成香と軽やかさがあり、後口をさっぱりとさせてくれる印象がありましたが、相性ではリースリングに圧倒的に軍配が上がりました。

プリプリとした海老の身を用いた真丈は甘みと旨みがあり、厚みのあるリースリングとやはり合いました。また蓬風味の生麩との相性も良い感じでした。お出汁も優しい味わいでとても美味でした。
「このリースリングは万能ですね。」との奥田氏の一言で、和食との相性の良さを実感できたのは新しい発見でした。
同時に、残していた先程のシャルドネとも試したところ、
やはりふっくらとした海老の旨みともぴったりでした。
南半球のワインは和食に合うんですね。

表面を微細に刺しを入れたアオリイカにさっとすだちを絞るとリースリングと素晴らしい相性になりました。
鯛はリースリングも相性が良かったですが、新たなラインナップのブルゴーニュ 「ドメーヌ ブズロー グリュエール ピュリニー・モンラッシェ 2007」との方が鯛の味わいの繊細さがより引き立つ感じでした。

奥田氏の徹底的にこだわった厳選素材のひとつがこの琵琶湖産の大鰻。通常の成魚は200g以上だそうですが、奥田氏の選ぶこの鰻はなんと1Kgだそうです。これまで育つ鰻の年齢は10年以上とのこと。そんな希少な鰻がさらにこだわりの炭火で蒲焼に仕上げられています。

脂ののった肉厚のスズキにはピュリニー・モンラッシェがよく合いました。
樽香が上品で適度な酸味があり、爽やかさだけではなく厚みがあるからでしょう。
このワインは料理より主張することがないため和食には合わせられやすいようです。
ワインはここで赤が1種加わります。
ブルゴーニュ 「ドメーヌ デ フォルジュ ラトリシエール・シャンベルタン グラン・クリュ 1994」。
このワインとこの鰻の蒲焼の相性は見事でした。
1994というオールド・ヴィンテージのグランクリュならではのピノ・ノワール独特のスパイシーな
ドライフルーツを思わせる熟成香と蒲焼にされた鰻の表面の香ばしさが調和し合いました。
同時に味わいの円熟味、練れたタンニンからくる口当たりのまろやかさと
ふくよかで十分な旨みの鰻の味わいは申し分のない相性でした。
今度試してみたいと思います。

海・山・畑の素材が繊細な味わいの焚き合わせで、体にやさしく入ってゆくようでした。

水菓子には新茶の香りが芳しい

ワインにも造詣の深い奥田氏による日本料理との組み合わせは「目から鱗」の連続でした。
その味わいの組み合わせのポイントは「酸と脂」にあるということです。
舌で味わった時にお料理の味わいとワインの味わいが偏ることなくそれぞれの個性を無くすことなく素直に美味しいと感じたのはその奥田氏の極意から生まれたものだったようです。
「日本料理とワイン」、もっといろいろなマリアージュの可能性が拡がりそうです。








