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東亜商事|Passion Cellar : 葡萄の大地から

フランス・ボルドー・シャトー・メール研修

2008.12.03

フランス・ボルドー・シャトー・メール研修

東亜商事初、ブドウの収穫から醸造までを体験してきました。



フランス・ボルドー・シャトー・メール研修






1.所属


 酒類事業部 大澤 大





2.同行者


 銀座レカン 宇佐美 晋也ソムリエ





3.研修期間と場所


平成20年10月12日から平成20年10月20日

フランス・ボルドー オーメドック地区





4.研修内容







10月12日(日)


AM11:30成田空港発オランダ・アムステルダム空港経由の飛行機にてフランス・ボルドー空港へ出発。19時間後、現地時間午後10:30到着。案内役のステファニーさんに出迎え頂き、シャトー・メールへ直行。午後11:30アベンサン村のホテル(シャトー・メール敷地内)へ到着。








10月13日(月)


 午前9:30にホテルを出発しマルゴー村のぶどう畑へ向かう。到着後、醸造責任者のディディエ氏よりぶどうの摘み取り方法を説明頂き、早速他の作業員6名と共にカベルネ・ソーヴィニヨン種の収穫作業開始。各自が手に鋏と小さなかごを持ちながら摘み、いっぱいになると大きなかごを背負った方へ預け、トレーラーまでまとめて運ぶ作業を繰り返します。今年も昨年同様に天候不良が続き、ぶどうの出来具合は、過去20年間で質量共に最悪との事。その影響からぶどうの熟成が遅れ、10月第2週まで収穫を待たれたそうです。(通常は9月初旬から中旬に開始)

収穫は、ぶどうを1房毎に確認し摘み取っていきますが、健全なぶどうは粒が大きく、房全体が引き締まり、果皮から果汁が溢れそうなくらいに張った状態です。左上の画像通り、中には果皮にカビが生えてしまった粒もありましたが丁寧に取り除きながら摘み取ります。又、粒が小さすぎる未熟なぶどうは房を全て除去。今回収穫したマルゴー村の畑自体が極めて高額と聞いていた上、1年間かけて栽培された貴重なぶどうである事を想いますと、カビが生えている部分でも捨てる事に躊躇すると同時に天候に大きく左右されるぶどう栽培の難しさを痛感。3時間をかけ0.5ha分のぶどうを収穫。

終了後、シャトーメールへ戻り従業員の方と共に昼食。

 午後4:00より醸造責任者から、収穫したぶどうから果実の採取方法及び醸造所内の設備説明を受けました。醸造所は、昨年10月に新築され、最新の醸造設備を有します。醸造責任者は、20年間の経験から場内での作業効率を考え大型タンクの位置から細い配管1本の位置まで自ら設計したとの事。





果実の採取方法は、収穫したぶどうをトレーラーから除梗機へ流し込みます。機械はぶどうの房から果梗を取り除き、果実だけを選別台に流します。更に作業員によって小さな果梗、葉などのゴミを丁寧に手作業で取り除かれます。果実はゆっくりと破砕、圧縮されながらポンプでステンレスタンク内へ送られ、2~4週間のアルコール発酵が開始されます。この時点で、培養酵母と酸化防止剤を加えられるとの事でした。最後に場内で、1週間前にマルゴー村で収穫したメルロー種が仕込まれたタンクから直接試飲をさせて頂きました。アルコール発酵が始まり1週間でしたので、まだまだ果汁の糖度が高く、赤ワインと言うよりも甘いぶどうジュースといった味でした。

午後7:15から午後9:30までマルゴー村のブラッセリー「La Brasserie du Lac」にて夕食。ゴルフ場に隣接する4星ホテルが経営する明るい雰囲気の手頃なお店。





10月14日(火)

 午前9:30にホテルを出発し、ポイヤック村へ向かう。午前10:30より第一級格付け生産者のシャトー・ムートン・ロートシルトを訪問。約1時間の場内見学ツアーに参加し、同生産者のワイン試飲を行いました。
1853年からの長い歴史があり、壮厳な醸造所です。収穫した果実を大型の木製タンクでアルコール発酵中。(画像左下)又、前衛的な舞台造りの地下醸造セラー(20m×100mサイズ)は距離感を失うほど広大でした。置かれている新木樽は今年のワインを熟成させる為の物(因みに新樽価格@600ユーロ(約8万円))又、毎年変わる事で有名な、ラベルデザイン画ですが世界の著名画家がデザインしたワインラベルを過去から現在まで全て展示してあり、1979年は日本人画家「堂本尚郎氏」が描いたラベルを採用したとの事でした。日本人の誇りです。

試飲ワイン:
① シャトー・ダルマイヤック2007年②シャトー・クレール・ミロン2007年
③ シャトー・ムートン・ロートシルト2007年
試飲した3アイテム共にまだリリースされていないワインで、貴重な試飲経験となりました。①はフルーティーな特徴があり②はスパイシーでバランスが良かった。③やはり別格の力強いパワーを持つワインである事が感じ取れました。




その後、シャトー・メールへ戻り昼食。この日は案内役のステファニーさんが、自宅から作って持って来て頂いた「キッシュ」(彼女の出身地であるアルザス地方の郷土料理)をご馳走になりました。温かいお心遣いに感激致しました。

午後2:00より醸造所内にて、本日ご前中に収穫されていたオーメドック地区畑のメルロー種の果実選別作業に挑戦。選別作業は、徐梗機から流れ出てくるぶどうをベルトコンベアーの上で選別(手で不純物を除去)を行うのですが、作業は見た目以上に慣れるのに時間が掛かりました。一定方向に動いているぶどうを目で追いかけているとかなり気持ちが悪くなります。(乗り物酔いに近い状態です)又、カタツムリや名前不明の昆虫なども流れてくるので、更に大変でした。単純そうに見える作業ですが、実際に体験するとそうではなく、3時間程の作業を行いましたが、かなりの重労働でした。

その後、オーメドックの畑にて大型の収穫機を使用した収穫作業を見学。(右下画像参照)収穫機は、ぶどうの木全体を左右から挟み込みながら動きます。ぶどうを吸い取るのではなく、風圧をぶどう木全体に加える事で、房が大きく揺らされ下へ落ちる仕組みです。昨日体験した手作業収穫と比べると作業効率の差は歴然ですが、良いぶどうも悪いぶどうも全て収穫してしまう欠点もあるとの事。シャトーメールでは、オー・メドック村畑の半分は機械摘みで行うとの事でした。

午後7:30よりリストラック村へ向かい「lauberge des Vignerons」と言う家族旅館内のレストランで夕食を頂きました。












10月15日(水)

 午前9:00よりサンテミリオン地区へ向け出発。午前10:30よりサンテミリオン地区でグラン・クリュ・クラッセに格付けされるシャトー・フラン・メイネの醸造所見学ツアーに参加し、ワインの試飲を行う。
 この醸造所は過去所有者が幾度とかわり、1996年よりは中国系の洋酒メーカーが所有。17haの畑を持ち、90%をメルロー種、10%をカベルネ・フラン種を栽培。平均樹齢が30年以上とあって木の根元が太いぶどう木が多く栽培されています。又、このエリアでは石灰質土壌が広がっており、昔より建築資材として、掘り出しやすく、加工しやすい石灰岩を使用していた為、掘り出された跡を現在でも自然の洞窟(地下セラー)として使用され、5haの広範囲に亘り所有。(右下画像)ワインを最適な環境で長期間、熟成させる事が可能です。








試飲ワイン:

① シャトー・フラン・メイネ2002年

② レ・セドレス・デュ・フラン・メイネ2002年(2ndワイン)



①香りは豊かで、アルコール分も高く、深紅色のボディはソフトながら厚みとコクがある味わい。同地区の特徴を良く表していた。

②新樽使用の使用比率が10%との事にてタンニンも軽め。ベリー系の果実味がしっかりと出ており、既に飲み頃を向かえつつあった。



その後、午後1:30より世界遺産にも登録されているサンテミリオンの町ヘ向かい、「L'envers du decor」で昼食。その後、2時間の自由時間を頂き、古い屋根の連なりが美しい町を散策。ワイン業の長い歴史と美しい建築物が世界遺産登録の基準だったそうです。石造りの建物の間から見えるぶどう畑はなるほど美しい景色でした。

 午後4:30よりサンテミリオン地区のプルミエ・グランクリュ・クラッセBに格付けされている名門シャトー・ボーセジュール・ベコーへ訪問。醸造所見学ツアーに参加し、ワイン試飲を行う。

 この醸造所は、17haの畑を所有し、70%メルロー種、24%カベルネ・フラン種、6%カベルネ・ソーヴィニヨン種を栽培。年間6万本のワインを生産しています。1985年に行われた同地区での生産者格付けの見直しでは、格下げと言う屈辱を味わい、1996年に再度格上げされるまで必死で品質改良を行ってきたそうです。醸造所は、石灰岩の丘の上に位置し非常に水捌けがよく、素晴らしいぶどうを栽培できる場所である事がわかりました。

試飲ワイン:

① シャトー・ボーセジュール・ベコー2006年

①濃い外観からは豊かな印象受け、熟した果実やローストしたコーヒーのような香りを感じ、とても柔らかくエレガントな口当たりは、上質なサンテミリオンのワインであると感じました。アルコール度数も高く、樽熟成からか、複雑性があり、スパイシーな香り。メルロー種にカベルネやカベルネFをブレンドされている事が理解出来る素晴らしいワインでした。









 その後、午後7:00にホテルへ戻り、午後8:30よりマルゴー村の「Restorante Le Savoie」にて夕食。





10月16日(木)

 午前9:30よりマルゴー村へ出発。午前10:00より第2級格付けのシャトー・ローザン・ガシーを訪問。場内説明ツアーに参加、ワイン試飲を行う。
 この生産者は、30haの畑を所有し、65%カベルネ・ソーヴィニヨン種、25%メルロー種、5%カベルネ・フラン種、5%プティ・ヴェルドー種を栽培。畑の40%は砂利質になっており、シャトーマルゴーなどの畑に隣接する優れた畑を持っています。発酵は全て大型のステンレスタンクを使用(左下画像)
今回は、特別に1日前に収穫し、仕込みが終わったタンクから直接試飲をさせて頂きました。(画像:試飲される宇佐美氏)発酵が始まって間もないので、美味しい甘いぶどうジュースといった所でした。又、ワイン醸造には新樽を使用されていますが、ワインの香りに複雑性を持たせるために、8社の木樽会社から異なる樽を仕入れるそうです。(右下画像参照)




試飲ワイン:

① シャトー・ベ・ロルム2001年(ACオーメドック)

② シャトー・クロワゼ・バージュ2001年

③ シャトー・ローザン・ガシー2001



①ぶどうの出来が悪い年は、樽売りで処理を行う程、品質に拘っているとの事。黒い果実の香り、木目細かいタンニンからコストパフォーマンスが非常に高いと思います。

②酸味がしっかり残っている事からまだまだ熟成途中と思いましたが、ポイヤックらしいクラシックボルドータイプワイン

③色香り共に深く繊細。非常に複雑でタンニンは細かく、重い印象でこれから更なる熟成で素晴らしいワインに変貌すると思いました。



その後、ポイヤック村へ移動し昼食。食事後は、ジロンド川に沿って立ち並ぶ有名シャトーの街道(グランヴァンストリート)を車内から案内して頂く。

午後2:00より第2級格付けのシャトー・ラスコンブへ訪問。場内見学ツアーに参加。シャトーは1867年に建てられた長い歴史を持っています(左下画像)全体で84haの畑を持ち、2001年より米国系投資組合のコロニーキャピタル社が所有しています。米国流に地質調査を行い、コールドマセレーション(画像参照)など最先端の醸造技術も導入されており、貯蔵庫もポップデザインを採用し、他醸造所とは異なる米国流のワイン造りが行われていると実感致しました。

その後、シャトー・メールへ戻り午後4:00から醸造責任者であるディディエ氏からオー・メドック畑の中で(右下画像)、ぶどうの見分け方、今後のぶどう栽培対する新しいアプローチ方法など説明頂きました。2011年にエコセール認証の取得を前提に全ての準備を進めており、常に品質向上を考え、改善を現場で行われています。(※1991年に設立されたフランス農務省が認定機関であるエコセールが有機食品の栽培に関して検査、認証を行っています。化学肥料の使用は全く許されず、5年以上有機農法を継続して初めて認められる厳格な規定です。)

PM7:00よりポイヤック村へ出発し、PM10:00まで「Le saint Martn」にて夕食を頂きました。











10月17日(金)


 午前9:30にホテルを出発し、マルゴー村へ。午前10:00より第3級格付けのシャトー・パルメへ訪問。場内見学ツアーに参加、ワイン試飲を行う。

52haの畑を所有。47%カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー種、6%のプティ・ヴェルドー種を栽培。49個もの大型ステンレスタンクを保有し最新設備で醸造を行っています。(左下画像)しかしならが、こちらでも悪天候の被害を受けており、今年の収穫量は昨年対比で10%減になる予測にて、厳しい状況で収穫作業を行っているとの事。



試飲ワイン:

① シャトー・アルテ・レコ・ド・パルメ2004年

② シャトー・パルメ2001年



① カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローを各50%使用されています。輝きあるルビー色の色調。木目細かいタンニンですが、パワーを感じるワインです。

②何か、高級きのこの様な極めてエレガントな香り。色調は明るく、酸味もしっかり残っている事からまだまだ熟成途中。①と飲み比べると、更にパワーフルで果実の凝縮感があり、長期熟成すると本領を発揮するワインだと思いました。その後、午後1:00からポイヤック村へ出発。午後1:30よりフランスのミニュランガイドで2ツ星を獲得しているレストラン「シャトー・コルディアン・バージュ」にて昼食。宇佐美様よりご依頼頂き訪問を決定致しました。ボルドー地方で唯一、星を獲得したレストランだけあり、洗練された店内に行き届いた自然なサービス、先進的デザインのお料理を堪能。宇佐美様に各サービスの内容、趣旨についてなど、レストランで働いている方からの目線で説明頂けたのもあり、緊張する事なく、素晴らしいサービスを勉強する事ができました。



 その後、シャトー・メールヘ戻り、午後4:30からディディエ氏と共にシャトー・メール1999年から2007年までの垂直ヴィンテージ試飲(00年を除く)を行う。当社で在庫している99年ヴィンテージのコストパフォーマンスを改めて認識。宇佐美氏も絶賛。特徴は、ミディアムボディーの赤ワインながら、エレガントな香り、ビターな後味を持っている所との事。06年と07年以外は日本で試飲した事がありましたが、現地でそして製造された工場内で再度試飲が出来た事は特別な思いでした。各年のワインの違いを見つけ、表現する事は非常に難しいのですが、天候不良とされた厳しい年のワインも熟成を重ね、美味しくなっていましたし、毎年の葡萄の出来具合に大きく左右されないぐらい、醸造技術も日々進歩しているとの事でした。



その後、午後8:00よりサン・ジュリアンへ向かう。午後9:00から「Restaurant Le Saint Julien」にてシャトー・メールより主催頂き、関係者と共にウェルカム・ディナーを頂きました。その席には、醸造責任者夫妻、ザビエルマネージャー、バデ・グレマン社のロジャー氏が参加。大変お忙しい時期にも関わらず、時間を頂けた事、貴重な研修を準備頂けた事への感謝を申し上げました。最後にディディエ氏には、日々の作業で使って頂ければと思い、軍手(TOA名入り)をプレゼント致しました。






10月18日(土)

 ボルドー市内へ終日市内観光。案内役にお願いし市内へ向かう途中にボルドー地方最古のワイン産地、グラーブ地区ヘ向かう。格付けされている、シャトー・スミス・オー・ラフィットを訪問。畑など確認し、グラーブとは「砂利」を意味するだけあり、石の多い土壌でした。この生産者が栽培するぶどう木の太さは突出しており、樹齢50年以上近い木が目立ちました。
昼食は、案内役の方が週末に家族でよく利用されると言う、アルザス地方の料理を提供されるレストランでとりました。その後、学生数6万人を有するボルドー大学、シャトー・オー・ブリオンなど案内頂き、市内では「マグナム」と言う有名なワインショップへ訪問。当社で取り扱っているシャトー・パタッシュ・ドゥーが販売されていました。ショップカタログにも掲載されています。(カタログ参照)又、佐納さんと言う日本人の方が働かれており、将来は東京でワインショップの運営を夢み現地で勉強されているとの事でしたので当社説明をしっかり行う。その後PM7:00へホテル戻り、PM7:30よりムーリ村の「Restaurant La Boule D'or」にて最終の夕食。



10月19日(日)

 AM9:30にホテルをチェックアウト。PM12:30ボルドー空港発オランダアムステルダム空港経由の飛行機にて成田空港へ。



10月20日(月)

 日本時間AM9:45成田空港へ到着。解散。



(総括)

 この度は、素晴らしい研修に参加させて頂きまして本当に有難うございました。日々販売しているオリジナルワインをフランス現地の現場を通して研修、学ばせて頂き、より理解する事が出来ました。滞在中は、醸造所関係者の方々に大変御世話になりました。特に醸造責任者であるディディエ氏は収穫時期の繁忙期にも関わらず、様々な質問に対しても、熱心丁寧にご説明頂けた事、感激いたしました。シャトー・メールでワインを造られる方々が、常にワイン品質の向上を考え、熱く挑戦されている姿勢を確認し、東亜商事の営業職として、日本の消費者へ同じ熱い思いを伝え続けて行く事が重要だと思いました。 又、数々の有名ワイン生産者訪問を通して、フランスにおけるワイン造りの歴史、奥深さ、面白さを学びました。そして、各村々で食した料理、ワインとの相性やフランス流サービスなど数多くの貴重な体験を致しました。それら全ての体験を今後の営業活動へ活かし、更なるワイン知識習得、提案営業力向上に努力致します。
 今回は、貴重なチャンスを頂き、本当に有難うございました。

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